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2022年04月01日 01:42
こんにちはENGI MAG編集部です!
爬虫類や両生類を飼ったことのある人からすると、樹上性のカエルはやや「飼いにくい」部類に入るのではないかと思います。
イエアメガエルのように非常に飼いやすい種もいるものの、どちらかといえば飼育に一癖ある種が多い印象です。
そんな中、国産の樹上性カエルであるニホンアマガエルは、実はとっても飼いやすいカエルの一種。
というわけで今回は、そんなニホンアマガエルについて詳しくご紹介します!
目次
そもそも、日本人にとってニホンアマガエルはかなりなじみ深いカエルの一種です。
絵本や物語で描かれることも多く、そういった意味でも見かける機会の多いカエルだと思います。
日本国内において、緑色をした小さなカエルといえば、大体がニホンアマガエルです。
茶色の大きなヒキガエルと緑色の小さなアマガエルで、「日本の超有名カエル二大巨頭」を構成しているといっても過言ではありません。
ニホンアマガエル(日本雨蛙、Japanese tree frog/学名Dryophytes japonica)は、日本から朝鮮半島、中国東部にかけて広く生息する、やや小型の樹上性カエル類の一種です。
樹上性と言いつつも、飼育感覚としては半樹上性、といったところで、わりと地上でも活動している印象があります。
指先には樹上性のカエルらしく吸盤のようなものがついており、ガラス面などでも平気で張り付くことができます。
ニホンアマガエルの体長は2cm〜最大4.5cm程度と小柄で、メスのほうがやや大きい傾向にあります。
鼻先がとがっていないため、丸みを帯びたフォルムに見えます。
ニホンアマガエルは実は体色がかなり激しく変化することでも知られていて、緑色から濃いめのグレーまで幅広く変化します。
なんとなく周囲に溶け込むような体色をチョイスしている様子が見られますが、カエルの目には色覚がないはずなので、どうして体色を変えられるのかよくわかっていません。
また、飼育環境では一度茶色やグレーになると緑にならないケースが多く、きれいな緑色を保つのが意外と難しいカエルでもあります。
ニホンアマガエルはかわいい見た目に反して皮膚に強い毒を持つことがわかっているので、なるべく素手で触らないようにしましょう。
正直ちょっと手づかみしたくらいならどうということはないことが多いですし、実際に私もアマガエルを素手で捕まえて何か被害を受けたことはないのですが、触った手で目や鼻、口などの粘膜に触れると、最悪の場合失明する恐れがあります。
また、皮膚の弱い方だと触っただけでかぶれるかもしれませんので、素手で触れた場合は必ずしっかりと手を洗いましょう。
カエルの鳴き声として有名な「ケロケロ」という声は、実はアマガエルの鳴き声ではありません。
ケロケロと聞こえるのは、恐らくアマガエルによく似たシュレーゲルアオガエル。
シュレーゲルアオガエルは、見た目は似ていますが、ニホンアマガエルの鼻から耳にかけて入っている褐色の線がありません。
ニホンアマガエルは見た目の可愛らしさに反して「グェッグェッ」と、ややドスの効いた声で鳴きます。
こちらは別のやつ🐸
こうして聴くと鳴き声もけっこう個性ありますね。#ニホンアマガエル #アマガエル #日本雨蛙 #雨蛙 #Hylajaponica #JapaneseTreeFrog #treefrog #カエル #蛙 #frog #カエルの鳴き声 #蛙の鳴き声 #croaking #両生類 #amphibian pic.twitter.com/XEeRbGhPTt
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ニホンアマガエルの寿命は、平均5年程度。
野生下では最大4年、飼育下では最大7年程度まで生きることがあります。
ニホンアマガエルは4〜6月頃に浅い止水域で産卵・放精し、概ね2〜3日で孵化、1ヶ月ほどで子カエルになります。
ちなみに1ヶ月でオタマジャクシからカエルの姿になるというのは、カエルの中ではかなり速い方です。
ニホンアマガエルを捕まえる場合は、先述の通り皮膚に毒があるため、なるべく素手で触らないように網などで捕まえるようにしましょう。
水辺の植物の上や森林などに生息していますが探すのが大変なので、産卵期の4〜6月頃に田んぼなどの止水域(水の動きの少ない場所)の近くの草むらを探すと見つけやすいと思います。
ただし田んぼは私有地なので、所有者に許可を取ってくださいね。
販売自体されていることは少ないですが、値段の相場は概ね500〜1,000円程度です。
アルビノなどの特殊な種類は2万円を超えることも少なくありません。
では、そんなニホンアマガエルを実際に飼ってみましょう!
まずはケージですが、アマガエル一匹を飼育するなら一番小さなサイズのプラケースでもなんとかなります。
ちょっとレイアウトなどして飼うのなら、20cm程度のガラスケージを使いましょう。
スライド扉タイプだと、ガラス戸が重なった部分の隙間から出てくることがあるので、個人的には観音開きタイプのケージがオススメです。
アマガエルは指先の吸盤で垂直面に張り付くことができるため、特にレイアウトをせずに飼育しても大丈夫なのですが、せっかく小型で美しいカエルを飼うのに味気ないケージではもったいないですよね。
レイアウトを破壊するほどのパワーはありませんので、倒れやすいようなレイアウトにだけ気をつけて、自由にレイアウトを楽しみましょう。
これは、私が実際に自宅で飼育しているアマガエルのケージです。
「グラステラリウムナノ」というガラスケージを使い、余っていた水草用のソイルを敷いています。
同じく余っていた流木を立てかけ、100円ショップで飼ってきた植物を植え込んで完成。
水入れはミニタッパーなのですが、雰囲気を壊してしまうので流木の裏にかくしてあります。
ニホンアマガエルに照明は必要ありませんが、ここではレイアウトした植物のために照明をつけています。
床材はなんでもいいのですが、保湿性のあるものにします。
キッチンペーパーなどでもいいのですが、湿らせると底面に張り付いて取りにくくなったり破れたりと、使いにくくなってしまいます。
ソイルやヤシガラなど土系の床材を敷いて湿らせ、発生したバクテリアにカエルのフンなどを分解させるような管理のほうがいいでしょう。
床材についてはこちらの記事でもまとめています。
カエル飼育において絶対に外せないのが、カエルの全身が入る大きさの水入れです。
カエルは口から水を飲むことはなく、全身の皮膚や直腸から水を吸収します。
このため、全身が入る大きさの水入れに新鮮な水が入っていないと、死活問題になります。
水入れは爬虫類用のものでも園芸用の鉢皿でもミニタッパーでも構いませんので、必ず入れてやりましょう。
ニホンアマガエルの適温は21〜27℃程度で、室内飼育であればヒーターも不要な場合が多いです。
湿度は70〜80%程度、基本的に毎日消灯前に霧吹きをしてあげます。
冬場は乾燥しやすいので、乾燥していそうであれば霧吹きの頻度を上げてあげましょう。
基本的にニホンアマガエルは、生きた虫しか食べないため、カエルのサイズに合わせたコオロギやハエを用意する必要があります。
…と、言いたいところなのですが、アマガエルはかなり慣れやすいカエルで、すぐにピンセットからエサを食べるようになります。
まずは、ピンセットで生きたコオロギをつまんで与えてみましょう。
これを食べるようになれば、餌付けは成功したといえます。
ピンセットで差し出されたものは何でもエサだと認識するようになり、冷凍コオロギはもちろん、人工餌も食べるようになるでしょう。
実際我が家のアマガエルはグラブパイを食べるまでになりましたので、全ての個体がこうなるわけではありませんが、試す価値は十分にあると思います。
もちろん、ピンセットから食べさせることができない個体なら、生きたコオロギを与える必要があります。
餌の量は、アマガエルの大きさにもよりますが、生きたコオロギでいうとSS〜Mサイズを1日1〜2匹程度与えます。
ニホンアマガエルは、手ごろなサイズ感にかわいらしい容姿、そして飼いやすさと、実は魅力たっぷりのカエルです。
4〜9月頃は特に見かける機会が増える季節なので、ぜひ飼育にチャレンジしてみてくださいね。
それではまた!