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2021年12月16日 11:00
こんにちはENGI MAG編集部です!
さて、今回は肉食昆虫の代表格、カマキリについてご紹介します。
カマキリは飼育できる昆虫の中でも割と隠れた人気種で、カブトムシやクワガタに並んで、海外産の種がショップで売られていることも多い昆虫です。
私が個人的に好きな昆虫でもありますので、詳しく解説していきます!
かつて昆虫少年だった方にとって、カマキリは憧れの存在だったのではないでしょうか。
カマキリという名前の通り、カマキリは『鎌切』とも書く、大きな手の鎌が特徴的な昆虫で、強そうに見えるのがとにかくかっこいいんですよね。
肉食性の昆虫の中でもかなりストイックな印象のある昆虫で、生きた虫を襲って食べます。
これは生まれた瞬間から変わらず、小さな幼虫でも、それなりに小さな獲物を捕らえて食べます。
死んだ虫や動物質以外のものを口にすることはなく、まさにハンターです。
しかも、細身の体形が災いしてか、食い貯めらしいことができず、こまめに餌をとる必要があります。
また、カマキリの鳴き声は?と聞かれることもありますが、カマキリが鳴くことはありません。
オオカマキリ
カマキリはカマキリ目に属する昆虫で、世界で約2000種ほど存在していると言われていて、日本の本州では、オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリ、コカマキリ、ウスバカマキリなどがよく見られます。
それぞれ生息する環境が微妙に異なっていて、オオカマキリとチョウセンカマキリは背の高い草地に多く、ウスバカマキリは河川敷の草地に多いのですが、ハラビロカマキリは樹上でよく見つかります。
また、コカマキリは好む環境がよくわからず、ちょっとレアな印象のあるカマキリです。
ハナカマキリ
その他海外のカマキリでは、ラン科植物の花に擬態し近寄ってきた虫を捕食するハナカマキリや、カマキリ界の魔王とも呼ばれるニセハナマオウカマキリなどが有名です。
日本産の種では、だいたい夏頃(8〜9月ごろ)に成虫が出現し、ハンティングをしながら交尾する相手を探します。
そして交尾が済むと、メスは秋ごろ(10〜11月ごろ)に産卵します。
カマキリの卵
産卵も独特で、固いスポンジ状の塊の中に、多い時で数百もの卵を産み付けます。
このスポンジ状の部分があるおかげで、卵は雨からも寒さからも守られているのです。
産卵場所も種によって微妙に異なり、オオカマキリは草や細い木の枝、チョウセンカマキリは木の幹など面が広いところ、ハラビロカマキリは木の枝先に産むことが多いようです。
卵の状態で冬を越したカマキリは、春(4〜5月ごろ)になると一斉に孵化します。
毎年関心するのですが、バッタの幼虫が孵化するよりも、カマキリの孵化が少しだけ遅れたタイミングになっています。
カマキリが成虫になったとき、バッタが主な獲物になるので、カマキリが成虫になったときにはバッタが成虫になっているよう、タイミングをずらしているようなのです。
孵化したカマキリはハンティングをしながら成長し、夏(8〜9月ごろ)には成虫になります。
成虫になった後は卵を生み、大抵11〜12月ごろまで生きますので、卵の期間まで入れると寿命は約1年程度ですが、生まれてからの寿命は概ね7〜8ヶ月程度になります。
外国産のカマキリの場合、日本とは季節が違うため、成虫になるのは同じタイミングにはなりませんが、基本的な生態は同じです。
この記事を書いているのは12月なので、野外でカマキリを探すと卵の状態になっています。
下記の写真のような卵を見つけたら、持ち帰ってみましょう。
カマキリの卵
カマキリの卵は一定の温度になると成長し孵化します。
屋内の暖かい環境におけば、春まで待たなくても孵化しますが、数百匹のカマキリを育てることになってしまうので、できれば卵の間は屋外で管理し、春まで待ちましょう。
卵の管理は特にすることはありません。プラケースに入れ、日陰に置いておくだけです。
春になったら、孵化していないか毎日チェックするようにしましょう。
孵化した幼虫は数匹程度、飼える分だけ手元に残し、残りは卵を見つけた場所に放してやりましょう。
赤ちゃんの段階の幼虫はプラケースで飼育します。足場となる枝などを入れるといいでしょう。
見た目にこだわらないのなら、100円ショップで売っている鉢底ネットを切って入れると、いい足場になります。
水滴を舐めて水分補給するため、毎日霧吹きで草や木などに水を与えます。
孵化したての幼虫は本当に小さなものしか食べられないので、野外でアブラムシをとってくるか、爬虫類ショップで売っている飛ばないタイプのショウジョウバエを与えましょう。
あとは、カマキリのサイズに合わせてケージと餌のサイズを変えていくだけです。
餌について、「良い年した大人が屋外でカマキリの餌用に虫捕りをするのは恥ずかしいし時間もない」という方は、爬虫類用のコオロギが餌で使えます。
ただ、あまり反応が良くないこともあるので、ピンセットで目の前に差し出してやりましょう。
与える量の目安としては、成虫のオオカマキリの場合、成虫のコオロギを毎日2匹程度です。
飼育展示施設では、この写真のようにレイアウトして飼育しているところもあります。
要するに、カマキリが安定してとまることができ、適度に水滴がつくような環境になっていればいいのです。
脱皮で失敗して死んでしまうケースが多いので、なるべく広いケージを使いましょう。
また、動くものに反応して襲い掛かる、つまり共食いをしてしまうことがあるので、基本的には単独飼育です。
カマキリの共食いは概ね2種類に分かれ、単純に飼育環境が悪く餌が不足している場合と、交尾の最中や交尾後に、オスがメスに食べられてしまう場合があります。
海外産のカマキリの場合、種類によって飼い方が異なるので、お店の人に買い方をよく聞いて購入するといいでしょう。東南アジア産のメダマカレハカマキリやハナカマキリは、比較的飼育しやすいといわれています。
とにかく姿かたちがかっこよく、一度は飼育してみたい昆虫のひとつです。
卵から孵化したばかりの幼虫を育て上げるのはかなり大変ですが、成虫まで育てたときの感動もひとしおです。
もし卵を見つけたら、飼育にチャレンジしてみてくださいね。
それではまた!