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2021年10月30日 11:00
こんにちはENGI MAG編集部です。
シリーズ(になるかもしれない)なんでも飼ってみよう!のコーナーです。
今回は『アメリカザリガニ』をご紹介!
「子どもの頃にザリガニ釣りして遊んだわ~」なんて言われるくらいなじみ深い生き物ですが、ナメてはいけません。いい年こいた大人だからこそ、飼って楽しい生き物なのです。
エビガニ。
まっかちん。
ザリガニ。
はいこれ、全部アメリカザリガニのことです。地方によってはエビガニと呼んでいたり、赤みが強く立派なやつを「まっかちん」と呼んでいたりします。
また、たいていの場合、単に「ザリガニ」といったらアメリカザリガニのことを指します。
ときどき、茶色っぽくて小さめの個体を見て
「これってニホンザリガニですよね?」
と聞かれることがありますが、違います。
ニホンザリガニはもともと、東北や北海道の清流にしかいない希少種で、ほいほい捕まえられるような相手ではないのです。
もともとアメリカザリガニはウシガエルを養殖するために餌用としてアメリカから日本に輸入された外来種で、逃げ出したものや捨てられたものが野生化し、全国で見られるようになりました。
ちなみに、アメリカザリガニは1927年に米国ニューオリンズ市から100匹を輸入、その内の多くは輸送中に死に、実際に日本国内へ輸入されたのはたったの27匹だったとも言います。(20匹という説も)
それが現在では日本の多くの水場で見られると考えるとすごい繁殖力ですよね。
メス1匹で年間に500匹も子どもを産むため、際限なく殖えていくのに加え、日本在来の生き物を食っちゃったり、田んぼに冬眠用の穴を掘って稲をダメにしたりと良くない影響が多いので、数年後には環境省の「特定外来生物」に指定される見込みです。
ただ、これはアメリカザリガニを持ち込んだり逃がしたりした人間が悪いのであって、アメリカザリガニが悪いわけではありません。「環境を壊す悪い奴」というイメージを捨てて、ペットとして向き合ってみましょう。
また、アメリカザリガニの寿命は野生の場合で5〜7年程度、飼育下における寿命は3〜5年程度と言われています。
水質管理が難しいことなどから、飼育下の方が寿命が短くなる傾向にあるのです。
アメリカザリガニをただ生かすだけなら簡単です。
500円くらいのプラケースに砂利を敷いて、ザリガニが隠れるくらいの水を入れ、ちょっと頭が出るくらいの石や流木を置きましょう。はい、完成です。
が、これでは正直言って何もおもしろくありません。
大の大人が本気でアメリカザリガニを飼うのなら、器具からこだわりましょう!
まずは水槽を用意します。
アメリカザリガニは共食いするので基本的には単独飼育になります。
水槽は幅45センチのものか、60センチのものがいいでしょう。
60センチ水槽を使えば、かなり本格的なレイアウトも楽しめます。逆に、シンプルにセットするなら30センチ水槽でも問題ありません。
▼60センチ水槽
▼45センチ水槽
次にフィルターを用意します。
フィルターとは水をきれいにしてくれる器具のことで、フィルター内部のろ材に微生物が住みつき、アメリカザリガニのフンなどを分解してくれます。
いろいろなタイプがあるのですが、私のオススメは水中ポンプ式のフィルターです。
さらに、アメリカザリガニ飼育の必需品ともいえるのがフタです。
実は、アメリカザリガニは脱走の名人。
水槽内のコードやパイプを伝って脱出し、部屋の片隅で干からびていた、なんてことを防ぐためにも、フタは絶対に必要です。
爬虫類用の金網のフタが売られているので、それを使うのがお手軽です。
または、BBQネットを加工して使ってもいいでしょう。熱帯魚用のガラスフタは、餌やり用の切り欠きから逃げ出してしまうため不向きです。
底には砂利かソイルを敷きます。これ、意外と重要。
歩く時の足がかりになるし、ちょうどいいサイズの砂粒を触角の根元の穴に入れてバランス感覚に役立てていることも知られています。
ビー玉とかだとバランサーとして使うことができないので気を付けましょう。
そしてもう一点、ライトです。
別にライトがなくてもアメリカザリガニは死にませんが、あるのとないのとでは見た目が段違いです。
飼育者のやる気に直結しますので、ぜひ用意しましょう。
さぁ、必要な器具を揃えたら、ここからがお楽しみです。
ある程度の行動スペースが確保できていれば、かなり自由な飼い方ができる生き物です。
たとえば、底に敷く砂利。色味や質感の異なる様々なものが売られているので、好みに合うものを選ぶといいでしょう。
ライトは普通、水槽用の横長のものを使用しますが、あえてスポットライトを使うのも一手。
雰囲気が大きく変わります。電球色、昼白色、昼光色、そしてブルー系と、光の色を変えてもいいでしょう。
水槽内のレイアウトもかなり自由にできます。流木や岩を使って自然っぽく作りこんでもいいですし、ガラス瓶なんかを沈めてみるのもアリ。
生きた水草は食べられてしまうため使えませんが、フェイクプラントなら安心して使えます。
水質に悪影響を及ぼさないものならなんでも入れられるので、お気に入りのフィギュアなんかを沈めてもいいでしょう。
あまり繊細なレイアウトは壊されてしまいますが、好きなレイアウトで飼ってみましょう。
また、気分によってレイアウトを作り変えてみるのも楽しいものです。
アメリカザリガニはかなり活発な生き物で、環境に慣れれば、周囲が明るくてもオープンスペースに出てきて活動する様子が見られます。自分の組んだレイアウトの中で動き回るアメリカザリガニは、見ていて飽きません。
基本的なお世話は熱帯魚と同じです。きちんとフィルターをセットして飼うことになるので、セオリー通り1週間に1度、全体の3分の1くらいの水替えをしましょう。
餌はなんでも食べますが、市販の「ザリガニのエサ」を与えるのが無難です。
要するに、大人の知識と財力を投入して普通種を飼うとこんなに楽しいよ、という話です。
飼育に難しい要素は特になく、隠れっぱなしで出てこないということもないので、下手にマニアックな生き物を飼うよりよほど楽しいと思います。
だまされたと思って、飼ってみてくださいな!