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2022年03月03日 21:08
こんにちは、ENGI MAG編集部です!
日本人が「イモリ」と聞いたら、一般的に思い浮かべるのはこの『アカハライモリ』でしょう。
そのくらい一般的なイモリで、もっともなじみ深い有尾類といっても過言ではありません。
しかもこのアカハライモリ、とっても簡単に飼えるんです。
ただし、テトロドトキシンという毒があることでも知られているので、注意も必要。
というわけで今回は、そんなアカハライモリについて詳しくご紹介します!
目次
まずは名前の話から。
イモリの話をしている時に、なぜかどうも話がかみ合わないことがあります。
「イモリが家に住み着いていて、夜になると窓ガラスに張り付いている」というのです。
よくよく聞いてみると、これはヤモリのこと。
一瞬、敷地に水田を持つ地主さんかと思いましたが、そんなことはありませんでした。
イモリとヤモリは名前が似ているためよく間違われますが、まったく違う生き物です。
ヤモリについてはこちらの記事でまとめてありますので、そちらを見ていただきたいのですが、イモリとヤモリそれぞれを一番イメージしやすいのは名前の漢字です。
イモリは「井守」。
ヤモリは「家守」(もっとも、これは近代の当て字ですが)。
そう、イモリは水中に暮らすから「井守(井戸を守る)」なのです。
一応イモリも、表面張力でガラスになんとか張り付くこともできなくはありませんが、本来の行動ではありません。
ちなみに、日本で「イモリ」と呼ぶ場合は、この『アカハライモリ』を指すことが多いです。
アカハライモリ(Cynops pyrrhogaster/Japanese fire belly newt)は和名で『ニホンイモリ』というだけあって日本の固有種で、北海道や沖縄、伊豆諸島などを除いて日本国内に広く生息しています。(ただし人の手により移入したことで、現在では北海道などにも見られるそう)
イモリは浅い水辺に暮らす両生類で、ため池や池、沼など止水域に生息します。
成体はほとんど上陸することがなく、ほかの小さな水生生物を食べて暮らしています。
アカハライモリの寿命は平均20年程度で、最長では25年程度生きるとされていて、かなりの長寿です。
そのため飼育なさる場合はご自身の環境などを考慮する必要があります。
野生の場合は10年を超えることはあまりありません。
アカハライモリの大きさは平均10cm前後で、最大では14cm程度になります。
春になると卵を水草に産みつけ、やがてオタマジャクシが孵化します。
孵化した直後はまさに魚のような姿の幼生ですが、ウーパールーパーのように体の外側にエラがでています。
カエルのオタマジャクシのようにやがて足が生えるとエラが消失し、親のミニチュアのような姿になります。
こうなると上陸しますが、上陸後1年ほどは陸上生活を送り、ほとんど水に入りません。
上陸後2年目以降になると再び水中に入り、親と同じ暮らしを始めます。
アカハライモリの皮膚には、テトロドトキシンというフグなども持つ毒があります。
毒自体の量は少なく触った程度では問題ないとされていますが、素手でイモリを触った際は、必ず念入りに手を洗い、くれぐれも目や口を触らないようにしてください。
なじみのある両生類であるにも関わらず、アカハライモリを野外で見かけたことがある方は少ないのではないでしょうか。
それもそのはず、野生のイモリは農薬や土地開発の影響でどんどん数が減っていて、今では準絶滅危惧種に指定されています。
私もいくつか、野生のイモリに会える池を知っていますが、その場所もいつなくなってしまうかわかりません。
できれば、いつまでも野生のイモリに会える場所であってほしいものです。
そんな希少種のアカハライモリですが、値段は高くなく、ショップでは数百円とかなり安価で販売されています。
これは、飼育繁殖そのものはかなり容易なので、ペット用に殖やされたものが売られているためです。
では、そんなアカハライモリの飼い方をご紹介します。
とはいっても、飼育そのものはかなり簡単なので、基本をマスターしたら応用を楽しむといいでしょう。
シンプルに飼うのなら、ケージはプラケースが一番です。
先に少し触れた通り、イモリは表面張力で垂直な面に張り付き、そのまま脱走することがあります。
このため、どんなケージでもフタは必須と考えましょう。
両生類専用のアクリルケージでも飼えますし、専用のガラスケージでもいいのですが、スライドガラスタイプの場合は隙間から脱走することがあるので、観音開きタイプを使いましょう。
また、熱帯魚用の水槽を使うときはフタを別途用意する必要があります。
▼水槽用網フタ
床材は特に必要ありません。もちろん敷いても構わないので、好みで選ぶといいでしょう。
ほとんど上陸しませんが、ときどき体を乾かすような動作をするので、浮島タイプの陸地を作ってやりましょう。
これで、基本のセッティングは終了です。
こちらは、30×30×45cmの水槽にイモリ2匹で飼育しているケージです。
ぴったりのフタがないので、アクリル板を加工して自作したフタをつけています。
慣れてきたら、こんな感じのアクアテラリウムに挑戦するのもいいでしょう。
シンプルなケージでは見られない、自然な行動が観察できます。
この写真では、60cmのガラス水槽に、5匹のイモリと1匹のトウキョウダルマガエルが飼われています。
岩や植物で隠れていますが、水中ポンプ式のフィルターが入っており、水質維持に一役買っています。
(フィルターをつけずに飼う場合は、汚れが目立つ前にできるだけマメに水替えをしましょう。)
もちろん、サイズに合ったフタは必須です。
アカハライモリの適温は18℃∼26℃程度で、28℃を超えると体長を崩す場合があるため注意が必要です。
また、寒さには比較的強く、飼育下ではまずありませんが、自然下では10℃を下回ると冬眠します。
餌についてですが、肉食系用のものであればなんでも食べるので特に困ることはないでしょう。
無難なのはレプトミンなどのカメ用フードです。
私が試したところ爬虫類・両生類用のフードである『グラブパイ』も食べましたが、水中ではだんだん水を吸って柔らかくなりすぎてしまうので、無理にグラブパイを使う必要はありません。
メダカやミナミヌマエビなど小さな生き物はイモリに食べられてしまう可能性があるため混泳はオススメしませんが、エサをとるのがかなり下手なので、すぐに食べられてしまう心配はいりません。
先述の通り寿命の長い生き物であることも知られていて、20年以上生きることもあるアカハライモリ。
おなかの模様にも個性があるので、ぜひお気に入りのかわいい個体を見つけて、大切に飼育してくださいね。
それではまた!