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2022年01月21日 10:54
こんにちはENGI MAG編集部です!
みなさんは庭先や山道などで、足元をちょろちょろと走り抜ける小さなトカゲをご覧になったことがありますでしょうか?
この小さなトカゲ、「ニホントカゲ」と思われていることも多いのですが、もしかするとニホントカゲではないかもしれません。
全く違うトカゲである可能性もあるし、近いけど違う名称のトカゲかもしれないのです。
というわけで今回は、間違いやすく、かつミステリアスな一面を持つニホントカゲについて、飼育の仕方と併せて詳しく解説いたします!
目次
まず、正確にニホントカゲの姿を思い浮かべることはできますか?
恐らく、これらの特徴にあてはまるのはニホンカナヘビです。
実はニホンカナヘビのほうが人間の生活空間に近い場所で暮らしていて、見かける機会も多いのです。
ついでにいうと、ニホンカナヘビのほうが動きが遅く捕まえやすいという特徴もあります。
カナヘビに関してはこちらで詳しくご紹介していますので、よろしければご覧ください。
こちらがニホントカゲ。
ややがっしりとした体形で、全長の半分くらいがしっぽ、きらきらとした金属光沢があるのが、ニホントカゲの特徴です。
大きさは15〜27cm程度でニホンカナヘビとほとんど同じですが、ニホンカナヘビが人間の生活空間に近い場所にもいるのに対し、ニホントカゲは主に草原や山地などの日当たりの良い場所に生息しています。
寿命は平均5〜6年で最長10年程度と、こちらもニホンカナヘビに近いですね。
この記事を読んでくださっている方の中で、ニホントカゲを見たことがある東日本在住の皆さま、恐らくそれはニホントカゲではありません。
2012年に、研究によりニホントカゲは『ヒガシニホントカゲ』と『ニホントカゲ』に分類されたのです。
ニホントカゲとヒガシニホントカゲの違い、見分け方としては、ヒガシニホントカゲの方が地面にお腹を擦るくらいペタンとした姿勢だったり、頭部の鱗の付き方で識別できるのですが、ざっくりいうと東日本にいるのがヒガシニホントカゲ、西日本にいるのがニホントカゲです。
このため、東日本に住んでいる方が見てきたトカゲは基本的にはヒガシニホントカゲ、ということになります。(境目としては滋賀や和歌山あたりになるようです。)
とはいえほとんど区別できないくらい似ているので、ここでは2種を合わせてニホントカゲと呼びますね。もちろん飼育方法も変わりません。
ニホントカゲの体色を思い浮かべてみてください。
全身茶色?
黄色いラインの入った黒い体に真っ青なしっぽ?
これ、どちらも正解です。
実はニホントカゲ、幼体と成体でまったく違う色になります。
幼体では、黒い体に黄色いラインが入り、しっぽは美しい青色です。
これが成体になると、全身が茶褐色になり、しっぽの青も消えてしまいます。
(ただし、メスは幼体の体色を残したまま成体になることが多いです。)
幼体のほうがおしゃれで美しいのですが、成体は成体で体の厚みが出て迫力があります。
特に繁殖期のオスは婚姻色で顔が赤く染まるので、見ごたえがあります。
ニホントカゲはカナヘビよりもやや湿った薄暗い環境を好むので、探すなら田んぼの周りなどがねらい目です。
カナヘビ同様、見つけたらそうっと近づき、頭のあたりを狙って手のひらで優しく包み込むように捕まえるのですが、これがかなり難しいのです。
まるで残像を残していなくなるような印象を持つくらい、素早く動きます。何度もチャレンジして慣れるしかありません。
もうひとつ、トカゲを「釣る」方法もあります。
川エビ用などの短い釣り竿にテグスをつけ、先端にミルワームを結びます。もちろん、針はつけません。
トカゲを見つけたら、目の前にミルワームを垂らしてみましょう。あっさり食いついてくれるはずです。
あとは、それを釣り上げれば捕まえられますので、虫かごに入れて持ち帰りましょう。
ニホンカナヘビ同様、ニホントカゲも尻尾を捕まえると自切(尻尾を自ら切って逃げること)してしまいます。
自切は生涯で一度しかできないダメージが残る反射運動(自分の意志とは関係なく起こる運動)なので、必ず胴体を押さえるようにしましょう。
ニホントカゲの飼い方ですが、基本的には昼行性のトカゲの飼育方法になります。
ケージは爬虫類用のガラスケージを使いましょう。
写真ではプラケースを使っていますが、プラケースは紫外線ランプでボロボロになってしまうのでオススメはしません。
そこまで活発ではないので、30cm四方くらいのケージで飼育できます。
あまり木登りなどの立体活動はしないので、高さの低いケージでも大丈夫です。
床材には土系のものを敷きます。
ヤシガラ土、赤玉土、黒土、腐葉土などが使えるでしょう。
割とよく床材に潜り込むので、少し厚めに敷いてやります。
ケージの隅から水を流し込み、床材の下半分が湿り、表層が乾いている状態にしましょう。
床材についてはこちらの記事でまとめています。
全身が入れる大きさの水入れも常設します。
オススメしたいのが、素焼のウェットシェルターです。
ニホントカゲは適した湿度が40〜60%程度とちょっと湿った環境を好みますが、ケージ全体をじめじめさせると状態を崩してしまいます。
そこで、ウェットシェルターの出番です。
ウェットシェルターは、上部の水入れに水を入れることで、本体が水を吸って湿り、内部が多湿になるようにできています。
ケージ全体をある程度乾燥させたうえでウェットシェルターを置くことで、トカゲが自分で好きな場所を選べるようになります。
あとは、ケージの底面1/3くらいにパネルヒーターを敷き、紫外線ライトとスポットライト(バスキングライト)をつければセッティングは完了です。
基本温度はニホントカゲの適温である25〜30℃程度にしておき、バスキングスポット(ホットスポット)で日光浴ができる暖かい場所を作ってあげます。
夜間は日光浴が必要ないため、スポットライトは消しましょう。
▼パネルヒーター
▼バスキングライト
▼紫外線ライト
▼ライトのスタンド
餌は基本的に昆虫なので、生きたコオロギを与えることになります。
ただ、どうもニホントカゲは食性の幅が広いようで、死んだ生き物でも普通に食べてくれます。
私が野外で観察した例では、干からびたミミズを食べている個体を見たこともあります。
うまく慣らせば、解凍した冷凍コオロギやふやかした乾燥コオロギをエサ皿に入れておくだけで食べるようになります。
幼体の場合は毎日、成体の場合は週に2回が餌やりの目安で、いずれの場合も、餌にはカルシウム剤を振りかけてから与えましょう。
実際に飼ってみると床材に潜りっぱなしで全然姿が見られない、なんてこともあるトカゲですが、それでも時々出てきては探索する姿が見られるでしょう。
もし興味があれば、ぜひ飼ってみてくださいね。
それではまた!
執筆・一部写真提供:GJ