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2021年11月17日 11:10
こんにちはENGI MAG編集部です。
「ちょっと爬虫類飼ってみようかな」と思ったとき、初心者向けとしておススメされるいくつかの種類があります。
そのひとつが、フトアゴヒゲトカゲです。
持て余さない適度なサイズ、何でも食べる雑食性、好奇心旺盛でかつおとなしい性格など、ペットとしての魅力を数多く兼ね備えていますし、多くのブリーダーがいるおかげでたくさんの品種を見ることもできます。
しかし、だからといって簡単に飼えるかというと、ちょっとしたポイントがあるのです。
目次
フトアゴヒゲトカゲ(Pogona vitticeps)は、オーストラリアの乾燥した地域に棲息する、サイズは平均で全長40センチ、最大で50〜60センチ程度、体重280〜500g程度の中型のトカゲです。
寿命は一般的には6〜8年程度ですが、飼育環境が良ければ10〜15年程度生きることもあります。
値段の相場は約2万円前後で、爬虫類の扱いがあるホームセンターやペットショップ、爬虫類専門店などで購入することができます。
オーストラリアは野生動物の輸出入に非常に厳しい国なので、本来はものすごいレア種なのですが、世界中で数多くのブリーダーが繁殖させてくれているおかげで、年間を通して安定供給されています。
雑食性で、小さなころは昆虫食傾向が強いものの、大きくなると葉野菜や果物も食べるようになるトカゲです。
フトアゴヒゲトカゲは多くの品種が作られており、レッドやイエローなど色彩を強めた品種や、ウィットブリッツのように白銀色を極めた品種、レザーバックのように鱗の変異を利用した品種などがあります。
おとなしくハンドリングが容易で、「飼いやすい」といわれているため、初心者の方にも非常に人気の高いトカゲです。
フトアゴヒゲトカゲの飼育は、乾燥系の昼行性トカゲの飼い方そのものです。
小さなうちは小型のケージでも飼えますが、一年以内にアダルトサイズまで成長するので、60×45センチくらいの専用ケージを用意する覚悟はしておきましょう。
乾燥を好むため、床材には乾いたバークチップなどを敷きます。砂漠の砂は鱗の間に詰まったり気管支炎の原因になるため、やめておいた方が無難です。
やや高温を好むトカゲなので、バスキングスポット(ひなたぼっこをするエリア)は40度以上になるよう設定してバスキングライトを付けます。
大抵ライト単体で売られているので、ライトを取り付けるスタンドもお忘れなく。
紫外線要求量も高いので、紫外線ライトを忘れずに。バスキングライト同様、大抵ライトを取り付けるスタンドも必要です。
最低温度を28度くらいに考え、パネルヒーターも設置します。
餌はベビーの時期はコオロギなどの昆虫をメインにし、餌入れには葉野菜を入れて、食べたいときに食べられるようにしましょう。生後1年を経過した成体は、昆虫は減らしていき、野菜類をメインに切り替えます。必ず、カルシウムとビタミンD3をくわえるようにします。
また、個体差がありますがベビーの頃から少しずつ慣らしておくと、虫や野菜以外の人工フードを食べてくれる場合もありますので、購入するショップの店員さんに人工フードに慣れているか聞いてみても良いと思います。
ただしアダルト(目安として35cm程度)になってからも100%人工フードというのはオススメしませんので、野菜類メインで時々昆虫や人工フードを与えるようにしましょう。
・・・と、ここまで難しそうなポイントは見当たらなかったかと思います。難しいのは、ここで紹介したポイントの「いずれも手抜きができない」という点です。
高温のバスキングライト、紫外線ライト、パネルヒーター、十分な餌とカルシウムなどのミネラルにビタミンD3。このいずれも、一切手抜きが許されません。
多くの場合、フトアゴヒゲトカゲを飼うのはベビーサイズからだと思いますが、先に示した条件のどれか一つでも欠ければ、ちゃんと成長しなくなってしまうと思いましょう。
たとえば、ベビーの飼育中に紫外線ライトを切れたままにしておくと、骨を正常に作ることができず骨格がゆがんだり、歩けなくなったりします。
これもベビーの話ですが、成長が早い分、食べる量も多く、しかも食いだめができません。
つまり、ベビーのフトアゴヒゲトカゲは一日中、餌をちょこちょこつまむように食べて過ごしているのです。
生きたコオロギを入れっぱなしにしておくと、食べ残したコオロギがトカゲをかじってしまうことがありますし、ケージから脱走して部屋をうろうろしていることもあります。
また、高温で乾燥しているので野菜はあっという間にしなしなです。できれば、ベビーのフトアゴヒゲトカゲには1日3~4食、最低でも2食は餌を与えたいところです。
フトアゴヒゲトカゲは、実は止まった水を認識できません。水入れに入った水を水だと思えないのです。
このため、放っておくとすぐに脱水症状になってしまいます。
水入れにエアポンプをつけて水を動かす方法もあるのですが、一番確実なのは水入れを教えることです。
時間を見つけて一日に何度も、水入れにトカゲの頭を突っ込んで水だと教え込む、ということを繰り返すと、そのうち水入れの水を覚えるようになります。
これも、ベビー期にやっておかないと、アダルトサイズになってからでは覚えられません。
このように、手抜きができない、こまめな餌やり、水が飲めないなど、実はフトアゴヒゲトカゲには難しいポイントがいくつもあります。
水以外は、オーソドックスな飼い方を守ってこまめに世話をすれば解決できる話なのですが、少なくとも日中に仕事を持っている人には難しい条件です。
そこで、初心者の方がフトアゴヒゲトカゲを飼う場合、おススメなのは「生後3か月以降の個体」を選ぶことです。
フトアゴヒゲトカゲのベビーは非常にかわいらしいのですが、もっとも弱いのもこの時期です。
生後3か月が経過すれば、体もしっかりしてきて、餌やりも1日2回でなんとかなるようになります。
ショップで水入れをちゃんと教えてくれていれば、水の心配もありません。
それでも器具類は外せないのですが、初めて飼うなら生後3か月以降の個体がおススメです。
今回の記事で私が伝えたいことはただ一つ、「初めてフトアゴヒゲトカゲを飼うなら生後3か月以降の個体を選びましょう」という点です。
丈夫さという点でいえば、アダルトサイズを買うのが一番間違いないのですが、アダルトサイズのフトアゴヒゲトカゲが売られていることは多くありません。
それに、生後3か月なら、育てる楽しみも十分に味わえるはずです。
それではまた!