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2022年02月08日 11:58
こんにちは、ENGI MAG編集部です!
記事タイトルに「初めて陸生サラマンダーを飼う人にオススメ」とつけておりますが、そもそも陸生サラマンダー自体がわりとマイナーですよね。
陸生サラマンダーには魅力的な種類がたくさんいるものの、ちょっと敷居が高いのも事実。
今回は、そんな陸生サラマンダーの中でも群を抜いて飼いやすい、タイガーサラマンダーについて詳しくご紹介いたします!
そもそもサラマンダーとは何か、というところからご紹介しますね。
サラマンダーとは、大雑把にいえば日本でいうイモリやサンショウウオの仲間のことを指します。
そう、つまりサラマンダーは両生類です。
両生類はカエルの仲間である無尾類(無尾目)、イモリやサンショウウオの仲間である有尾類(有尾目)、そしてアシナシイモリの仲間である無足類(無足目)に分かれますが、今回ご紹介するタイガーサラマンダーは、有尾類の一種であるサラマンダーの仲間です。
サラマンダーは、ほとんど水中から出ない水生のサラマンダーと、幼生は水中生活を送り、その後上陸してほとんど陸で暮らす陸生サラマンダーに分かれます。
タイガーサラマンダーは、そんな陸生サラマンダーの一種であり代表種です。
タイガーサラマンダーは北米原産のサラマンダーで、個体差はあるものの、基本的にはタイガーの名前の通り、黒地に黄色の模様が入ります。
ハイイロタイガーサラマンダー
到着 pic.twitter.com/uCqqeBG9KZ— 樹液酒場▷龍泉ベース (@jueki_sakaba) November 16, 2020
タイガーサラマンダーには元々基亜種のトウブタイガーサラマンダーの他、亜種としてオビタイガーサラマンダーやハイイロタイガーサラマンダー、ブロッチタイガーサラマンダー、アリゾナタイガーサラマンダー、ソノラタイガーサラマンダーなどの計6種類がいるとされていましたが、現在では基亜種とされていたトウブタイガーサラマンダーのみを「タイガーサラマンダー」として、その他の種は独立した種と定義されるようになっています。
なので、厳密に言うとオビタイガーサラマンダーなどは「タイガーサラマンダー(=トウブタイガーサラマンダー)」とは別の種と言えますが、今回は「◯◯タイガーサラマンダー」とつくものをタイガーサラマンダーとしてご説明いたしますね。
かわいい…😍#トウブタイガーサラマンダー pic.twitter.com/rZgcDjpi3z
— ブラッド (@ZaHlBIevFYVdiye) December 15, 2018
いずれも飼い方などが異なるわけではありませんが、日本のペットショップで見られるのはほとんどがトウブタイガーサラマンダー(俗名トラフサンショウウオ)とオビタイガーサラマンダー(俗名バレッドタイガー)のどちらかで、最近少し価格は上昇傾向にありますが、どちらも値段は5,000〜15,000円程度であることが多いです。
トウブタイガーサラマンダー、オビタイガーサラマンダーはそれぞれ微妙に色味や模様が異なり、特に模様については個体差も大きく、お気に入りの個体を探したり、集めたりする楽しさもあります。
いずれも全長は最大で30cmにもなるといわれており、陸生サラマンダーとしては世界最大の種で、寿命も10年〜20年程と長生きです。
生態としては「やや湿った場所に棲むヒキガエル」のようなイメージで、現地では湿地帯に穴を掘って潜んでいるようです。
基本的には夜行性で、夜になると歩き回り、昆虫やミミズなどを食べています。
どうして陸生サラマンダーがあまり知られていないマイナー種の地位に甘んじているかというと、飼育にちょっとしたポイントがあるためです。
ずばり、ほとんどの種が「低温」を好む点がポイントです。
エアコンで部屋を冷やす程度では暑すぎて衰弱してしまうこともあり、常温では飼いにくいという点で確かに飼いにくさがあります。
実は、夏場は冷蔵庫に入れて休眠状態にし、秋から春にかけて玄関などの加温がされず室温が低めで安定した場所で飼えばクリアできるのですが、なかなか日本ではこういった飼い方は浸透していません。
家庭用の冷温庫やワインセラーを使って飼うこともできるのですが、こちらも日本では一般的ではありません。
ファイアサラマンダーなどは地域差や個体差が大きくコレクション性があり、省スペースで飼えるので海外では人気なのですが、日本ではわりとマニアックな部類に入るようです。
そうした陸生サラマンダーの中で、比較的気軽に飼い始められるのがタイガーサラマンダーです。
見た目や姿はかなり違いますが、基本的にはヒキガエルを飼うのと同じです。
まず必要になるのはケージですが、プラケースやアクリルケース、爬虫類・両生類専用のガラスケージが使えます。
プラケースやアクリルケースが管理しやすいですが、ガラスケージのほうが見栄えはよくなります。
▼アクリルケージ
▼爬虫類・両生類専用のガラスケージ
また、長く飼育して大きくなると先述の通り30cm程度になることもありますので、特大プラケースくらいの大きさがないと狭く感じるかもしれません。
次に床材ですが、ヤシガラ土や黒土、ソイル等が使えます。
▼ヤシガラ土
やめた方がいいのはミズゴケで、こまめに吸水しないとサラマンダーにまとわりついて水分を奪ってしまうのと、サラマンダーが間違えて食べてしまい、消化管に詰まって死んでしまうことがあるので気を付けましょう。
床材は多少湿らせたほうがいいですが、表面が乾いているくらいで構いません。
床材についてはこちらの記事でまとめています。
あとは、全身が入る水入れを用意します。
これは爬虫類用の水入れを使ってもいいですし、100均のタッパーなどでお手軽に済ませてもいいでしょう。
水はなるべく毎日取り換えてあげて、あとは、ときどき大きなフンが落ちているので、見つけたら捨てておきましょう。
シェルターについてはあった方が落ち着くのかもしれませんが、なくても問題ありません。
基本的に常温で飼育できますが、夏はエアコンで涼しくしてやります。
適温は10〜23℃程度ですが、健康状態に問題のない個体なら、28℃でも平気で餌を食べます。(ただし限界で28℃くらいなので、そこまで上がらないように気をつけていただきたいです)
多湿を好むため湿度は60〜80%程度が理想ですが、水入れに新鮮な水が入っていれば床材の湿度はそこまで気にしなくて構いません。
餌は生きたコオロギなどを食べますが、あえて生き餌を使う必要はありません。
ツノガエル用のフードやグラブパイもまったく問題なく食べてくれます。
大きくなるとピンクマウスも食べられるようになりますが、栄養価が高すぎるので主食にするのは避けましょう。
私は基本的にグラブパイを与え、ほかの生き物が食べ残したコオロギや冷凍金魚などをオヤツ代わりにあげています。
餌を与える頻度は数日に一回で大丈夫です。
日常的なお世話は餌やりに水の交換くらいと、タイガーサラマンダーはとにかく飼いやすいサラマンダーです。
隠れっぱなしということもなく、餌が欲しいと自分から飼い主にじりじりと寄ってきてくれることもあります。
最近見かける機会が減り、価格も少し上がっていますが、それでもオススメしたいサラマンダーといえます。
それでは!
執筆・一部写真提供:GJ